前回は長々と前振りをしたので、本題から多少脱線しちゃいましたが、基本的な”結露”に対する知識が無いと「ペアガラスでも結露する?」の理解が得られないと思ったので。(めちゃ言い訳っぽいですね)
本題の
@⑦「ペアガラスでも結露する?」@
ペアガラスは結露させないものではありません。結露を起こしにくくするものです。ちなみに窓で結露するのはガラス部分だけじゃなくstrong>枠部分でも結露は起こります。
さて、窓を結露させにくくする方法、言い方変えれば@①「家を結露で破壊しにくくする方法」@はどういったものでしょうか?
簡単に言うと
@④室内と外気温の温度差を少なくする。@
と言う事になります。
左の図にして説明します。
室内と外気温の温度差を少なくするという事は、外気温を上げることはできないので室温を下げるしかありません。
外気温2度でシングルガラスのアルミサッシの場合、ガラス表面温度は9.3度ぐらいなので、室温を14度の湿度74%ぐらいまで落とせばガラス部分で結露はしないでしょう。サッシ部分は8.6度なので室温14度、湿度70%ぐらいまで室温を落とさないと、室温25℃湿度50%の空気は窓に触れて急激に冷やされると湿度100%超えて135%の状態に・・・35%分放出された水蒸気は水へと変わり結露します。
しかし、結露させない為に部屋の温度を下げると寒い!!めちゃ寒い!結露防止の前に人が参ります。
ではどうすればいいのか?
サッシ・ガラスを断熱性のあるものに交換すればいいのです。サッシを樹脂サッシにして、ガラスをペアガラス(内部真空)に交換すると、サッシ表面温度は18.9度 PGガラス部分で20.5度あります。
室温25℃で湿度50%の空気が窓に触れて冷やされても、湿度が上がるだけで、空気から水蒸気が放出されることはありません。つまり結露しないということになります。
この事を空気線図で確認してみます。
ピンクの△が室温を表しており、気温25度、湿度50%を記しています。この室温が9.3度のガラスに触れると一気に湿度は135%に達し飽和水蒸気量を超えてしまい、35%分水蒸気が放出され”水”に変わります。これが結露ですね。
では、25度、湿度50%の空気は何度以上であれば結露しないのでしょうか?
下の図を参照してください。
14.2度以下の空気に接触すると結露するようです。
すると高性能サッシと高性能のPGガラスであれば結露しないように思えますが、このサッシ&PGガラスでも結露を起こす外気温があるのです。
その温度は*B@④-16.7度@@。めちゃ寒い・・・極寒ですよ。中部地区であればこの気温は標高の高い場所でしかありえませんので、まず大丈夫となります。
さて今回は窓の結露対策ですが、実はこれと同じようなことが壁の中で起きている可能性があります。これは壁の断熱性能と正しい施工がされているか?されていないか?で決まります。
窓は拭いたり、対策を取ることができますが、壁内は見えないので対策ができません。対策が出来ないと言う事は・・・
さて、更に解り易い絵を用意しました。
上の絵は、外気温2度、室温25℃、湿度50%の時に、ケース1はシングルガラスのアルミサッシ、ケース2はPG断熱ガラスに樹脂サッシを比較したものです。(他の設定は同じにしてあります)
ケース1のサッシ&ガラスの場合、外気温が13.8度以下になると結露が始まるようです。ちなみに外気温2度の場合は1時間当たり99.7g/㎡の結露水が出るようです。掃出し窓であれば3.38㎡あるので約337gの結露水が1時間で発生します。では6時間これが続いたら・・・約2Lの水が発生します。窓にペットボトル2Lの水をかけているようなものです。これではサッシ周辺の木製部分は劣化するに決まっています。ちなみに掃出し窓が2か所あったら・・・ぞっとしますよね。水に漬けているようなものです。
これでは折角の建物が傷んでしまうのも理解できます。
今回は窓廻りの結露が建物を傷める原因となることが解りました。
しかし、この結露は窓だけで起こるとは限りません。
@⑦壁体内結露@数年でこのような結果になります。構造材が致命的な破壊を受けた場合は修復するのは非常に難しくなります。そうならない為に、建物を新築する際には、建主自身が知識を持つ必要があります。こうなってからでは遅すぎます。