@⑤住まいをアップグレードする@建物の断熱改修 Upgrade your home

建物の断熱改修(リフォーム)は、家の「寒さ・暑さ」を根本から解決するだけでなく、光熱費削減や健康維持に直結する重要な工事です。
現在は国を挙げた強力な支援策があるため、「制度を賢く使うこと」が成功の鍵です。
1. 主な断熱改修の手法
部位によってコストと効果が変わります。また、断熱改修は壁・床・屋根・天井・窓と多岐に渡り、最終的には全てを工事しないと劇的な変化は生まれません。
●床の断熱 床下から断熱ボードを貼り付ける。
冬場の「足元の冷え」を解消します。
●壁の断熱 内壁を壊して断熱材を入れ替える、または外壁の上から断熱材を重ねる(外張り断熱)。
大掛かりですが、家全体の性能が新築並みになります。
●屋根の断熱
屋根を外断熱に変える方法があります。小屋裏がある場合、小屋裏空間の活用もでき、効果は非常に高いですが、費用もそれなりに掛かります。
●天井断熱
天井裏にグラスウールやセルロースファイバーを敷き詰める。夏場の2階の暑さ対策に非常に有効です。
●窓の断熱(最優先・高コスパ)
内窓設置: 既存の窓の内側にもう一つ窓を付ける。半日で終わり、効果が劇的です。
カバー工法: 古いサッシごと最新の断熱窓に交換する。


2. リフォームで絶対に活用すべき補助金
2024年〜2025年にかけて、過去最大級の予算が投入されています。
●先進的窓リノベ2024事業
窓の改修に対して、工事費の最大約50%相当(一戸あたり最大200万円)が補助されます。
●子育てエコホーム支援事業
壁・床・天井の断熱改修や、高効率給湯器への交換が対象です(子育て世帯以外も利用可能)。
●既存住宅の断熱リフォーム支援事業
高性能な断熱材や窓を用いたリフォームを支援する環境省の制度です。

3. 断熱改修のステップ インスペクション(建物診断)
どこから熱が逃げているか確認します。
●優先順位の決定
まずは熱の出入りが最も激しい「窓」から検討するのが鉄則です。
補助金対象の確認
補助金は「登録事業者」に依頼しないと受けられません。

4. 注意点
断熱や気密を強化すると家が密閉されるため、セットで「換気計画」の見直しも重要です。適切に換気を行わないと、室内の湿気がこもり、結露やカビの原因になることがあります。

*B*①建物の断熱化

断熱化しなければならない部位
断熱化しなければならない部位は
●屋根(天井)
●外壁
●床(基礎)
となります。簡単に言うと『外気と接している部分』という事になります。

*B*①屋根(天井)の断熱

屋根の断熱は非常に有効です。
太陽光による熱は非常に高温になります。夏場70℃~80℃(それ以上の場合もある)になる事があります。瓦は室内側に熱を伝え難いですが、質量が高い為『蓄熱』して、夜になっても高温を保つ場合があります。
板金屋根も同様に高温になりますが、質量は瓦同様高いですが、薄いため早く冷えます。しかし、これは早く熱せられるとも言えます。
屋根下に断熱材が無い場合、室内側に熱が流入し部屋が暑くなります。屋根裏があった場合も、室内天井裏に断熱材が無い場合、部屋に熱が流入してくるため暑くなり、屋根裏が高温(70℃~場合によっては90~100℃)になり、屋根裏を劣化させます。その為に屋根裏がある場合、屋根裏の熱気を抜く換気が必要になります。
屋根断熱の場合
屋根断熱は非常に有効で、屋根の瓦や板金の下に通気層を設けて断熱材と反射材を設ける方法と、屋根裏面に断熱材を施工する方法があります。前者を『屋根外断熱』後者を『屋根内断熱』とします。 

*B*①屋根の外断熱・内断熱 それぞれのメリット・デメリット

屋根外断熱工法
メリット
●断熱欠損が無く、高性能な断熱材で覆うことができる。
●小屋裏が必要なくなり、小屋裏を室内やLOFT空間、屋根裏収納として使える

デメリット
●屋根を一度取外し施工する為、コストがかかる。
屋根が傷んでいて、交換しか方法が無い場合は、このデメリットは無くなります。

屋根内断熱工法
メリット
●施工が簡単で屋根裏に入って施工する為、解体部分がほとんど無い。
●費用が屋根外断熱工法に比べ安く済む。

デメリット
●完璧な施工が難しい場合がある。
●熱橋による断熱欠損部分がある。
といった面もあります。

完璧な施工については、屋根裏は複雑に構造材や電気配線等が入っている場合が多く、また、屋根の傾斜によって端部まで入り込むことが難しい場合があります。その為、完璧な施工が難しい事が多いというのが本音です。(特に寄棟の屋根形状)

「熱橋」に関しても、屋根の下地を支える「垂木」の間に断熱材を入れるため、垂木部分にだ熱欠損が起きやすく、これをカバーする為、その垂木部分を再度断熱材で覆う必要があります。
この様に金銭面や施工面での問題はありますが、劇的に断熱化した効果は味わえ、更に冷暖房費用の軽減や建物の資産家価値の向上につながります。

*B*①外壁の断熱

外壁の断熱も『外断熱工法』と『内断熱工法」があります。

外壁の外断熱工法
メリット
A.建物寿命の向上: 構造体が外気温の変化から守られ、劣化を抑制
B.断熱・気密性が高い: 隙間なく包むため、内断熱より冷暖房効率が良い
C.結露の防止: 構造体が冷えにくいため、壁内結露を防ぎカビ・ダニを抑制できる

デメリット
D.高コスト: 足場の設置や専用の断熱材・外装材が必要で、内断熱より費用が高い
E.壁が厚くなる: 建物全体が外側に膨らむため、敷地境界との距離や外観に影響が出る
F.施工品質の差: 高度な技術が必要で、業者によって仕上がりに差が出やすい
等があります。

外壁の内断熱工法
メリット
・コストが安い: 足場が不要で、汎用的な断熱材を使用するため費用を抑えられる
・部分施工が可能: 部屋単位で施工できるため、住みながらの改修や予算に合わせた調整が容易
・冷暖房の効きが早い: 構造体を温めず室内の空気のみを冷暖房するため、即効性が高い

デメリット
・内部結露のリスク: 構造体(壁の中)が外気で冷えやすく、室内との温度差で結露が発生し、カビや腐朽の原因になりやすい
・部屋が狭くなる: 内側に断熱材とボードを貼るため、有効面積が数センチずつ削られる
・断熱欠損: 柱や梁の部分で断熱材が途切れるため、外断熱に比べると気密・断熱性能の均一性が低い
等があります。

*B@⑦外壁の外断熱 vs 内断熱:比較まとめ

比較項目

外断熱工法(外側を包む

内断熱工法(内側に詰める)

コスト

高い(足場代、専用材が必要)

安い(汎用材で施工可能)

断熱性能

高い(建物全体をムラなく覆う)

普通。しかし、熱橋がある。(柱・梁・土台灯などで断熱が途切れやすい)

結露対策

非常に優秀(構造体が冷えない)

注意が必要(壁内結露のリスクあり)

建物の保護

あり(構造体の劣化を抑え寿命を延ばす)

なし(構造体は外気にさらされる)

施工のしやすさ

外装改修と同時に行う必要がある

部屋ごとの改修や住みながらの施工が可能

空間への影響

敷地境界との距離が狭まる

室内が数センチずつ狭くなる

*B@⑦結論:どちらを選ぶべきか?

「外断熱」が向いているケース
●建物の長寿命化(資産価値の維持)を最優先したい。
●外壁の全面リフォーム(張り替え)を予定している。
●全館空調のように、家全体の温度を一定に保ちたい。

「内断熱」が向いているケース
●予算を抑えつつ、特定の部屋(リビングなど)の快適性を上げたい。
●外壁のデザインは変えたくない、または敷地境界に余裕がない。
●「使っている時だけ素早く冷暖房を効かせたい」というスタイル。

となり、外壁の断熱改修の目的や考え方、そして予算に応じてどれにすべきか?考える必要があります。

*B*①床の断熱

木造建物の床の断熱改修には、主に「床下から施工する方法」と「室内から床を剥がして施工する方法」の2種類があります。また、他にも床ではないですが、「基礎を断熱する方法」もあります。

床下から施工する方法
最も一般的な床下断熱改修方法です。足元の冷え解消になり、床表面温度が3〜5℃程度上がり、冬場の快適性が劇的に向上します。コストも安く済みますが、使用する断熱材はグラスウール断熱材や発泡樹脂系断熱材があり、断熱材の種類や厚みによって価格は変わります。但し、床下の空間が狭かったり、床下に行く点検口が小さい場合この方法では施工ができません。他にも床下状況や異物・設備機器配線等がある場合にも価格が変わってきます。因みに床下がかび臭い場合や湿気が多い状況下ですと、グラスウール断熱材はあまりお勧めしません。近年吸水性が少ないグラスウール断熱材がありますが、もし吸水した場合脱落してしまう可能性がありますので、発泡樹脂系断熱材がお勧めです。この工法は施工性の問題で確実・正確に断熱材を施工するのが難しいくなります。断熱欠損の可能性は全く無いとは言えません。また、床下材料が腐食・浸食・白蟻被害があった場合にもこの方法は向いていません。

室内から床を剥がして施工する方法
床下断熱の改修方法としては理想的ですが、既存の床を剝がすのでその分コストが掛かりますが、かなり各自な方法です。断熱欠損の可能性も少なく各自な断熱性が約束されます。また床を剥がすので、床下状況が確実に解るようになり、湿気防止のビニールシートの施工や防湿コンクリート、床下材の腐食・浸食・白蟻被害の確認や修復もできます。
また使用する断熱材はグラスウール断熱材や発泡樹脂系断熱材となり、先ほども述べたように発泡樹脂系断熱材がとても有効です。もちろん、この場合も足元の冷え解消になり、床表面温度が3〜5℃程度上がり、冬場の快適性が劇的に向上します。

基礎断熱工法
基礎断熱工法は、床下そのものを「室内と同じ空間」と捉え、建物の基礎(コンクリート部分)に断熱材を施工する方法です。
メリット
・床下が冷えない: 地熱を利用でき、冬場も床がキンキンに冷えるのを防げる
・気密性が高い: 床断熱に比べて隙間を埋めやすく、断熱・気密性能を確保しやすい
・配管の保護: 床下の配管が凍結しにくく、メンテナンスもしやすい

デメリット
・シロアリのリスク: 断熱材がシロアリの通り道になりやすく、専用の防蟻断熱材が必要
・湿気がこもりやすい: 築1〜2年はコンクリートからの湿気が出やすく、床下の換気設計が重要
・カビのリスク: 対策を怠ると床下に湿気が停滞し、カビが発生する可能性がある

デメリットの部分に関しては、対策が講じられており、さほどのデメリットでもありませんが、既存の床下状況や基礎状況によって大きく変わります。

基礎断熱工法 パターン
1.基礎外断熱: 基礎の「外側」に断熱材を貼る。
2.基礎内断熱: 基礎の「内側」に断熱材を貼る。

の2つのパターンがあります。

「1.基礎外断熱」に関しては、防蟻対応の発泡系樹脂断熱材を使用し基礎の外側に貼り付けます。建物の基礎外周部外に貼り付けるので、外部にある各種設備品の移動が必要な場合もあります。メリットとしては「室内に入らなくても施工可能」です。しかし、基礎の床下空間を密閉してしまうので、床下空間と室内への換気口(床ガラリ)を床に数か所~数十か所設けることは必須となります。この場合は室内に入って施工しなければなりませんが、住みながらでも施工が可能になります。場合によっては、床下の空気を攪拌するする装置が必要になる場合があります。この様な装置が増えると、コストが高くなっていきます。
この基礎外断熱工は、一般的ではありませんが、湿気の多い場所や、床下空間を快適に保ち、床下温度を安定させることにより、床の冷え込みが無くなり、床下の高寿命化ます。

「2.基礎内断熱」
こちらは、基礎の内側に断熱材を張り付ける方法で、床下に潜り込んで施工する方法と床を一旦撤去して、対策を講じて断熱材を張り付け、床を修復する方法です。前者は床下点検口から材料を入れて貼り付けますが、「床下断熱工法」と同じく、床下空間が狭く人が入れない、床下に貼る点検口が小さく入れない等、施工できない場合があります。
また、この工法も床下を密閉するので、先ほどの「基礎外断熱」でも書いた、床下の対策が必要ににあります。

どちらにしても、床下を密閉し、床ガラリで室内と同じ環境状態にすることで、床の冷え込みが無くなり、床下空間の高寿命化が期待できます。また、床下が密閉されることで、床暖房を設置できる場合があり、更なる快適性を求めることができます。

工法

内容

メリット

デメリット

床下潜り込み工法

床下に入り、既存の床板の裏側に断熱材を設置。断熱材はグラスウールから発泡樹脂製断熱材等があり、種類や厚みによって性能に違いが表れる

床を壊さず住みながら施工可能。費用が安い

床下が狭かったり、床下進入口が小さいと施工不可。狭い場所での施工となるため、隙間ができやすく、高度な技術が必要になります。

床張り替え工法

既存の床を剥がし、根太の間に断熱材を敷き詰める

確実に隙間なく施工でき、床材の更新も同時に行える

工期が長く、住みながらの施工が難しい。費用が高い。床材の損傷がある場合はこの方法が確実。

基礎断熱工法

基礎の内側、又は外側に断熱材を基礎の張り付ける工法

床下から断熱するので、床下温度が安定し、床の低温化を防ぎます。また、外部から施工する「基礎外断熱工法」であれば、室内に入らなくても施工が可能

床下を密閉するので、床下換気口や基礎パッキン換気が出来なくなります。その為、床下を換気する必要があります。(床下の空気撹拌機、室内との管機構の設置)費用は高くなります。

*B*①窓の断熱

窓の断熱改修は、家の中で最も熱が逃げやすい場所(約50〜70%)を塞ぐため、最もコスパ良く断熱効果を実感できるリフォームです。

*B*①窓断熱改修の主な方法

工法

内容

メリット

デメリット

内窓設置
(二重窓)

今ある窓の内側に新しい窓を設置

費用対効果が最強。防音・結露防止に非常に高い効果。

窓を2回開ける手間がかかる。掃除の箇所が増える。

カバー工法

今の枠の上に新しい枠と窓を被せる

窓自体が新品になり開閉がスムーズに。壁を壊さず1日で完了。

内窓より費用が高い。元の枠の分だけ、ガラス面積が少し小さくなる。

ガラス交換

枠はそのまま、ガラスだけを複層(ペア)ガラスへ交換

最も手軽。見た目があまり変わらない

枠(アルミ枠など)の結露は防げない。断熱性能の向上は限定的

サッシを交換

既存のサッシを取り外し、新規に断熱サッシを取り付ける

最強バージョンUP。完璧

既存のサッシを取り外すため、窓の内外の壁を解体・修復する事になり、費用がかさむ

上記表を見てみると、4種類の方法が考えられます。
それぞれにメリット・デメリットがあり、現在のサッシの状態や費用等で検討する必要があります。また窓リノベでの補助金対象ですので活用は必須です。

*B*①断熱改修のまとめ

断熱改修について説明しましたが、各部の方法や工法、費用にメリット・デメリットについてご理解できましたでしょうか?中々複雑であったと思います。ご紹介した内容以外にも、建物の構造によって判断しなければならないこともあり、また、個別の建物周辺状況からも判断し、決断しなければならない事も多々あります。
断熱改修は「ただ、これをやれば良い」ではなく、様々な要因を考慮したうえで、最適な判断をして費用面とも相談の上決定していかなければなりません。安易な考えで施工された断熱改修は、改修する前より大きな問題を抱えるケースも少なからずあり、専門知識と、それに基づく施工経験や施工能力が必要になります。
ここまでを読んで見て頂き、「任せられるかも?」と思った方は、是非、ご相談ください。

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